法人税 別表一の書き方【2026年版】数値例つきで記載の流れを税理士が解説

別表一は、法人税申告書の「顔」——所得金額から税額を計算し、納める(または還付される)金額を確定させる本体の様式です。正式名称は「各事業年度の所得に係る申告書」で、別表一と「次葉(つぎよう)」の2枚でワンセットになっています。

COLUMN法人税・決算実務

別表一は、法人税申告書の「」——所得金額から税額を計算し、納める(または還付される)金額を確定させる本体の様式です。正式名称は「各事業年度の所得に係る申告書」で、別表一と「次葉(つぎよう)」の2枚でワンセットになっています。

書き方のコツを先に言うと、別表一は最後に書くこと。所得金額は別表四から、税額控除は別表六(一)から、欠損金は別表七から——各明細書の結果が流れ込んでくる集計表だからです。本記事では、中小企業の典型例(所得1,000万円)の数字を使って、記載の流れを順番に追います(申告書全体の構造は「法人税申告書の書き方【別表の読み方】」をご覧ください)。

別表一の全体構造:4つのブロック

別表一は、大きく4つのブロックでできています。

  1. ヘッダー部: 納税地・法人名・法人番号・事業年度・申告区分(青色/確定申告)など
  2. 法人税額の計算: 所得金額 → 法人税額 → 控除 → 差引確定法人税額
  3. 地方法人税額の計算: 法人税額をベースに10.3%を計算
  4. その他: 還付口座、剰余金の配当の状況、決算確定日など

そして税率を掛ける具体的な計算(800万円以下15%・超過分23.2%の区分)は、次葉で行ってから別表一に転記します。

数値例:所得1,000万円の中小法人で流れを追う

前提: 資本金1,000万円・青色申告・3月決算・所得金額10,000,000円・中間納付500,000円・預金利息の源泉所得税1,531円。

ステップ1:所得金額(1欄)

別表四の最終値「所得金額又は欠損金額」を転記します。10,000,000円。1,000円未満の端数は切り捨てて課税標準とします。

ステップ2:法人税額の計算(次葉で税率区分)

次葉で所得を2段に分けます。

  • 年800万円以下の部分: 8,000,000円 × 15% = 1,200,000円
  • 800万円超の部分: 2,000,000円 × 23.2% = 464,000円
  • 合計 1,664,000円 → 別表一の「法人税額」欄へ転記

ここで2つの実務注意があります。第一に、15%は租税特別措置の軽減税率のため、適用額明細書の添付が必須です。第二に、事業年度が12か月未満の場合、800万円の枠は月数按分(800万円×月数/12)になります。

ステップ3:税額控除(所得税額の控除)

預金利息などから天引きされた源泉所得税は、別表六(一)で集計して法人税額から控除できます。例では1,531円。控除しきれない場合は還付されます。この控除を使う場合、利息の額面(源泉徴収前)を別表四で加算しておく処理とセットである点が、自社申告でよく漏れるところです。

ステップ4:差引確定法人税額

法人税額 1,664,000円 − 所得税額控除 1,531円 = 1,662,400円(百円未満切捨て) 1,662,400円 − 中間納付 500,000円 = 確定納付額 1,162,400円

中間納付額が年税額を上回っていれば、その差額が還付になります(還付口座の記載を忘れずに)。

ステップ5:地方法人税

課税標準法人税額(1,664,000円 → 千円未満切捨てで1,664,000円)× 10.3% = 171,300円(百円未満切捨て)。中間納付分を差し引いた残りが確定納付額です。地方法人税は国税で、別表一の下段で法人税と一緒に計算・申告します(住民税・事業税は別の様式=第六号様式等で都道府県・市町村へ)。

記入前のチェックリスト:流れ込んでくる別表

別表一を書く前に、次の別表が固まっているか確認してください。

転記元 別表一へ流れる数字
別表四 所得金額(または欠損金額)
別表七(一) 欠損金の当期控除額(所得から控除済みかを確認)
別表六(一) 控除する源泉所得税額
各種税額控除の明細(賃上げ促進税制等) 法人税額の特別控除額
前期申告書・納付書 中間納付額

「別表一から書き始めない」——これが自社申告のミスを減らす最大のコツです。

申告区分別の書き分け:確定・中間・修正

別表一は確定申告以外の場面でも使います。区分の違いを整理しておきます。

  • 確定申告: 本記事で解説した基本形。申告区分欄で「確定」を選択
  • 中間申告(仮決算方式): 中間6か月を1事業年度とみなして同じ様式で作成します(予定申告の場合は簡易な予定申告書のため別表一は不要)
  • 修正申告: 当初申告の誤りを直す場合、別表一に「修正」の区分を表示し、既に納付した税額(当初申告分)を差し引いて追加納付額を計算します。加算税・延滞税は税務署側で計算されて後日通知されます
  • 期限後申告: 様式は確定申告と同じですが、無申告加算税の対象になります

どの区分でも「別表四から流れてくる」構造は同じです。区分を誤って提出すると訂正の手間が大きいため、申告ソフトの設定段階で区分を確認してください。

当期欠損の場合の記載例

所得がマイナス300万円(欠損)の年は、次のようになります。

  • 1欄: △3,000,000円(欠損金額として記載)
  • 法人税額: 0円(地方法人税も0円)
  • ただし住民税の均等割(年7万円・標準)は別途、地方税の申告書で発生
  • 欠損金300万円は別表七(一)に記載して翌期以降10年間繰り越し
  • 中間納付をしていた場合は全額還付となるため、還付口座の記載が必須

「税金ゼロだから申告は適当でよい」は誤りです。期限内の青色申告こそが、この300万円を将来の節税原資(実効税率30%なら約90万円の価値)に変える手続きそのものです。

ヘッダー部・下部のつまずきポイント

  • 申告区分: 「青色」の表示欄のチェック漏れ。青色申告法人であることの表示は特典適用の前提です
  • 法人番号・整理番号: 国税庁から指定された13桁の法人番号と、税務署の整理番号は別物です
  • 決算確定の日: 株主総会の承認日を記載します。申告書提出日より後の日付になっていないか(総会前に申告した形になっていないか)は形式チェックの定番です
  • 翌期へ繰り越す欠損金: 当期が赤字の場合、欠損金額を記載し、別表七(一)と整合させます
  • 還付口座: 中間納付の還付・所得税額控除の還付がある場合の振込先。法人名義の口座を正確に

税理士からのひとこと(監査目線):別表一のセルフチェックで私たちが必ず見るのは「3つの整合」です。①別表四の所得金額と別表一の1欄が一致しているか、②別表一の確定税額と、決算書の「未払法人税等」(納税充当金)の計算が噛み合っているか、③中間納付額が前期申告書・納付実績と一致しているか——。特に②は循環構造(税額が決まらないと決算が締まらない)のため、申告ソフト任せにすると「決算書の未払計上額と申告書の税額が数千円ズレたまま提出」が起きがちです。提出前に、別表一・別表五(二)・決算書の未払法人税等の3点を並べて眺める習慣をつけてください。

電子申告での注意

e-Taxで提出する場合も、記載内容は紙と同じです。実務上の注意は次の3点です。

  • 添付書類の送信漏れ: 決算書・勘定科目内訳明細書・適用額明細書・法人事業概況説明書まで一式を送信したか
  • 受信通知の保存: 申告した証拠(メール詳細)は融資・各種証明で使うため必ず保存
  • 地方税(eLTAX)は別送信: 別表一を国に送っただけでは、住民税・事業税の申告は終わっていません

よくある質問(FAQ)

Q. 別表一に「一」「一の二」など種類があるようですが、どれを使えばよいですか? A. 様式は法人の区分(普通法人・協同組合等・公益法人等)により分かれています。中小企業(株式会社・合同会社)は普通法人用の別表一を使います。申告ソフトなら自動選択されます。

Q. 赤字(欠損)の年も別表一は書きますか? A. 書きます。所得金額の欄に欠損金額(マイナス)を記載し、法人税額はゼロ、欠損金は別表七(一)で翌期へ繰り越します。赤字でも申告義務はあり、期限内申告が繰越の条件です。

Q. 次葉とは何ですか?省略できますか? A. 税率区分(800万円以下・超)ごとの税額計算を行う別表一の付属様式で、省略できません。別表一本体の「法人税額」は次葉の計算結果の転記です。

Q. 百円未満切捨て・千円未満切捨てはどこで行うのですか? A. 課税標準(所得金額・課税標準法人税額)は千円未満切捨て、確定税額は百円未満切捨てが基本です。手計算の場合は切捨ての位置を誤りやすいため、計算過程をメモに残してください。

Q. 別表一の控えはどこで使いますか? A. 金融機関の融資審査では「申告書一式(別表一〜・決算書・勘定科目内訳明細書)」の提出が定番です。電子申告の場合は受信通知とセットで保存し、すぐ出せる状態にしておくと資金調達がスムーズです。

Q. 防衛特別法人税はどこに書きますか? A. 2026年4月1日以後に開始する事業年度から、基準法人税額をもとにした申告・納付の手続きが加わります。様式・記載方法は国税庁の最新の手引きでご確認ください(基礎控除年500万円があるため、中小企業の多くは税額が生じません)。

Q. 提出後に間違いに気づいたら? A. 税額を少なく申告していた場合は修正申告、多かった場合は更正の請求(原則5年以内)です。別表一だけでなく、転記元の別表・決算書との整合も含めて直す必要があるため、原因の別表から修正します。

まとめ

  • 別表一は申告書の本体だが、書くのは最後。別表四・六(一)・七(一)の結果が流れ込む集計表
  • 税率区分の計算は次葉で行い、15%適用には適用額明細書の添付が必須
  • 端数処理は「課税標準は千円未満切捨て・税額は百円未満切捨て」
  • 提出前チェックは「別表四との一致・未払法人税等との整合・中間納付額の一致」の3点
  • 電子申告は添付書類一式の送信とeLTAX(地方税)の別送信まで終えて完了
  • 欠損の年こそ丁寧に。期限内の青色申告が欠損金を「将来の節税原資」に変える
  • 修正申告は別表一だけでなく、誤りの源泉となった別表から直す

申告書のセルフチェック・自社申告からの移行は Iroae税理士事務所へ

Iroae税理士事務所では、自社申告された過年度の別表一・別表四・別表五の整合チェック、誤りが見つかった場合の修正申告・更正の請求、申告体制の引き継ぎまでサポートしています。「自分で書いた申告書が合っているか不安」——その不安は、3つの整合チェックで具体的に解消できます。

※本記事は2026年時点の様式・税率をもとに、税理士の監修のもと作成しています。様式・税率・添付書類は税制改正により変わる場合があります。実際の申告にあたっては、必ず国税庁の最新の様式・手引きをご確認いただくか、税理士にご相談ください。

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