年末調整の法人実務【2026年版】会社がやることと必要書類・スケジュールを税理士が解説

年末調整とは、会社が従業員(役員含む)の1年間の所得税を再計算し、毎月源泉徴収した税額との過不足を精算する手続きです。給与から毎月天引きしてきた源泉所得税は概算のため、年末に正確な税額に調整し、払いすぎなら還付、不足なら追加徴収します。

COLUMN法人の実務・税理士活用

年末調整とは、会社が従業員(役員含む)の1年間の所得税を再計算し、毎月源泉徴収した税額との過不足を精算する手続きです。給与から毎月天引きしてきた源泉所得税は概算のため、年末に正確な税額に調整し、払いすぎなら還付、不足なら追加徴収します。

これは会社の義務であり、従業員の確定申告の代わりになる重要な手続きです。本記事では、会社がやること・必要書類・スケジュールを実務目線で解説します。

年末調整の対象者

  • 対象: 12月時点で在籍し、給与の支払いを受けている従業員・役員(「扶養控除等申告書」を提出している人)
  • 対象外: 給与年収2,000万円超の人、2か所以上から給与を受け一定の要件の人、年の途中で退職した人(一部除く)など——これらの人は自分で確定申告

社長1人の会社でも、社長は役員報酬という給与を受けているため、1人会社でも社長の年末調整が必要です。

会社がやることの全体像

  1. 従業員から書類を回収(11月〜12月初旬)
  2. 各種控除を反映して年税額を再計算(12月)
  3. 過不足を12月(または1月)の給与で精算(還付・追加徴収)
  4. 源泉徴収票を作成・交付(従業員へ、1月末まで)
  5. 法定調書・給与支払報告書を提出(税務署・市区町村へ、1月末まで)

従業員から回収する書類

書類 内容
扶養控除等(異動)申告書 扶養親族の情報。全員提出が前提
基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書 本人・配偶者の所得、各種控除
保険料控除申告書 生命保険料・地震保険料・小規模企業共済等掛金(iDeCo含む)の控除証明書を添付
住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除(2年目以降。証明書・残高証明を添付)

これらと**控除証明書(保険会社・金融機関から本人に届くもの)**を回収します。回収漏れ・記載漏れが年末調整の遅延の最大の原因なので、早めの案内と締切設定が肝心です。

反映する主な控除

年末調整で精算される控除には次のものがあります。

  • 基礎控除(本人)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除(配偶者の所得による)
  • 扶養控除(扶養親族)
  • 生命保険料控除・地震保険料控除
  • 社会保険料控除(給与天引き分は会社が把握、本人が別途払った国民年金等は申告で)
  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo・小規模企業共済の本人払い分)
  • 障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除
  • 住宅ローン控除(2年目以降)

なお、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合)は年末調整できず、本人が確定申告します。

スケジュール(一般的な流れ)

時期 やること
11月上旬 従業員へ書類の配付・記入案内
11月下旬〜12月初旬 書類・控除証明書の回収(締切設定)
12月 年税額の再計算、過不足の精算(12月給与または賞与で)
12月〜1月 源泉徴収票の作成・交付
1月31日まで 法定調書合計表(税務署)・給与支払報告書(市区町村)の提出

1月末の提出物が年末調整の締めくくりです。給与支払報告書は従業員の住む市区町村へ提出し、これが翌年度の住民税の計算基礎になります。

税理士からのひとこと(監査目線):年末調整で会社がつまずく典型は、①控除証明書の回収遅れで12月給与の精算に間に合わない、②保険料控除・配偶者の所得の記載ミスで再計算が発生、③法定調書・給与支払報告書の提出漏れ——の3つです。対策は、11月初旬に余裕を持って案内し、締切を「11月末」と早めに設定すること。そして、給与計算ソフト・年末調整サービスを使えば、計算と源泉徴収票・法定調書の作成が大幅に自動化されます。一人社長の会社でも年末調整は必要で、これを忘れると社長自身が確定申告する羽目になります。なお、毎月の源泉徴収を「納期の特例」(年2回納付)にしている会社は、年末調整後の1月分の納付(1月20日まで)とセットで管理してください。

前提:毎月の源泉徴収と納付

年末調整は「1年分の精算」ですが、その前提として毎月の給与から源泉所得税を天引きし、納付する実務があります。

  • 源泉徴収: 給与・賞与から、扶養人数・給与額に応じた源泉税額(源泉徴収税額表で計算)を天引き
  • 納付: 原則、徴収した月の翌月10日までに納付
  • 納期の特例: 従業員10人未満の会社は、申請により**年2回(1〜6月分を7月10日、7〜12月分を1月20日)**にまとめて納付できる

年末調整は、この毎月の概算徴収を年末に精算する位置づけです。納期の特例を使っている会社は、年末調整後の1月20日納付で1年が締まります。

役員・家族従業員の年末調整の注意

  • 役員報酬も給与所得として年末調整の対象です(社長本人含む)
  • **家族従業員(専従者的な勤務)**も、給与として支給し源泉徴収しているなら年末調整します。ただし勤務実態の伴わない給与は否認対象(「役員賞与を損金にする方法」のみなし役員も参照)
  • 役員・家族の控除(保険料・配偶者など)も他の従業員と同様に反映します

身内だからと年末調整を省略せず、従業員と同じ手続きで処理することが、給与の損金性を守るうえでも重要です。

つまずきやすいポイントと対策

年末調整で会社が混乱しがちな点と、その対策をまとめます。

つまずき 対策
控除証明書の回収が遅れ、12月給与に間に合わない 締切を「11月末」と早めに設定し、未提出者には個別催促
配偶者の所得の記載ミスで再計算 配偶者控除・配偶者特別控除は所得欄を必ず確認
中途入社者の前職分が反映されない 前職の源泉徴収票を必ず回収
住宅ローン控除の証明書の添付漏れ 2年目以降は本人に証明書・残高証明の準備を案内
法定調書・給与支払報告書の提出漏れ 1月末の提出をカレンダーに固定

これらは「会社の事務」というより「従業員からの書類を期限内に集めきれるか」の勝負です。早めの案内と締切設定が、年末調整をスムーズにする最大のコツです。給与計算ソフト・年末調整サービスを使えば、計算と各種帳票の作成は大幅に自動化できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 一人社長の会社でも年末調整は必要ですか? A. 必要です。社長は役員報酬という給与を受けているため、年末調整の対象です。行わないと社長自身が確定申告で精算することになります。

Q. 年の途中で入社した従業員はどうしますか? A. 前職の源泉徴収票を提出してもらい、前職分の給与・源泉税を合算して年末調整します。前職分が反映されないと正しく精算できません。

Q. ふるさと納税は年末調整できますか? A. ワンストップ特例(寄附先5自治体以内・申請書提出)を使えば確定申告不要で住民税が控除されます。それ以外(6自治体以上・医療費控除等で確定申告する人)は確定申告が必要で、年末調整では処理できません。

Q. 副業のある従業員の年末調整は? A. 主たる給与(扶養控除等申告書を出している勤務先)で年末調整します。副業分を含めた精算は、従業員本人が確定申告で行います。

Q. 年末調整を税理士に頼めますか? A. 頼めます。給与計算とセットで年末調整・源泉徴収票・法定調書の作成を依頼できます。従業員数が多い会社や、初めての年末調整では、専門家・専用サービスの活用が確実です。

まとめ

  • 年末調整は会社の義務。毎月の概算の源泉税を年末に正確な税額に精算する
  • 一人社長の会社でも社長の年末調整が必要
  • 流れは「書類回収→再計算→過不足の精算→源泉徴収票交付→1月末に法定調書・給与支払報告書提出
  • 各種控除を反映するが、医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ外)は本人が確定申告
  • つまずきは控除証明書の回収遅れ・記載ミス・提出漏れ。11月初旬の早めの案内と給与計算ソフトの活用で防ぐ

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Iroae税理士事務所では、給与計算・年末調整の代行、源泉徴収票・法定調書・給与支払報告書の作成、源泉所得税の納期管理まで、給与まわりの実務を一式でご支援しています。「年末の事務に追われる」会社は、給与計算ソフトの導入と専門家活用で大幅に省力化できます。

※本記事は2026年時点の制度をもとに、税理士の監修のもと作成しています。控除の要件・様式は税制改正により変わる場合があります。実務にあたっては、必ず国税庁の最新情報をご確認いただくか、税理士にご相談ください。

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