創業融資の必要書類と事業計画書の書き方【2026年版】創業計画書8項目の埋め方を税理士が解説

創業融資の審査は、面談が始まる前に提出書類の段階で大勢が決まっています。中でも創業計画書は、あなたの事業を公庫の担当者が初めて知る「唯一の資料」です。

COLUMN資金調達・融資

創業融資の審査は、面談が始まる前に提出書類の段階で大勢が決まっています。中でも創業計画書は、あなたの事業を公庫の担当者が初めて知る「唯一の資料」です。

本記事では、必要書類の全リストと、創業計画書の標準的な記載項目(8項目)それぞれの「書き方の型」を解説します。制度の全体像・審査のポイントは、ピラー記事「創業融資(日本政策金融公庫)完全ガイド」をご覧ください。

必要書類の全リスト

全員が必要なもの

  • 借入申込書(インターネット申込なら入力で代替)
  • 創業計画書(公庫所定様式。本記事の主役)
  • 通帳(自己資金の確認用。直近6か月〜1年分の動きが見えるもの。ネット銀行は入出金明細)
  • 本人確認書類(運転免許証等)

該当者が必要なもの

書類 必要になるケース
見積書 設備資金を申し込む場合(内装・機械・車両等)
不動産の賃貸借契約書(または物件資料) 店舗・事務所を借りる場合
履歴事項全部証明書 法人で申し込む場合
営業許可証・資格証明 許認可業種(飲食・建設・美容・古物等)
源泉徴収票・確定申告書 直近の収入を確認する場合・すでに事業を始めている場合
借入の返済予定表 住宅ローン・自動車ローン等の既存借入がある場合
月別収支計画書 求められた場合(作っておくと面談で強い)

書類は一度で揃えて出すのが鉄則です。後出し・差し替えは審査の心証と時間の両方を悪化させます。

創業計画書:8項目の書き方の型

公庫の創業計画書は、おおむね次の8項目で構成されています。順に「何を見られているか」と「書き方の型」を示します。

1. 創業の動機

見られているのは「思いつきか、準備の末か」。勤務経験と動機がつながるストーリーで書きます。

型: 「◯年間の◯◯での勤務で△△のスキルと顧客層を得た。その経験から□□という需要を確信し、準備(資金・物件・見込み客)が整ったため創業する」

「夢だったから」「自由に働きたいから」だけでは弱く、準備の事実(貯蓄してきた・物件を押さえた・見込み客がいる)を動機に織り込むのがコツです。

2. 経営者の略歴等

申込事業と関連する経験を年表で具体的に。社名・在籍期間・職務内容・役職・実績(売上・管理人数)まで書きます。資格・受賞歴もここです。審査上、同業種での勤務経験年数は最重要級の項目です。異業種からの参入の場合は、研修・修行・フランチャイズ本部の支援など「経験の代替」を示します。

3. 取扱商品・サービス

商品・サービスごとの単価と売上構成比まで書きます。「セールスポイント」欄は、競合と比べた具体的な違い(立地・価格・専門性・既存顧客)を1〜2点に絞って明確に。

4. 取引先・取引関係等

**販売先・仕入先・外注先の名前と取引条件(回収・支払サイト)**を書きます。創業前でも、見込み客・内定済みの取引があれば固有名詞で(「◯◯社より月◯◯円の発注内諾」)。回収サイトと支払サイトのズレは運転資金の根拠になるため、ここの整合が7(必要資金)につながります。

5. 従業員

雇用予定の人数・常勤/非常勤の別。人件費の計画(8の収支)と矛盾しないように。

6. 借入の状況

経営者個人の住宅ローン・自動車ローン・カードローン等を正直に全部書きます。公庫は信用情報を照会するため、書き漏らしは「隠した」と評価され、金額以上のダメージになります。

7. 必要な資金と調達方法(左右がピタリと合う表)

左側(必要資金)と右側(調達方法)の合計が一致する表です。

  • 設備資金: 見積書と1円単位で一致させる
  • 運転資金: 「月の経費×◯か月分」の根拠で。仕入先行型の事業は回収サイトを根拠に厚めに
  • 調達側: 自己資金(通帳と一致)+親族借入(ある場合は返済条件も)+公庫借入希望額

ここの「自己資金と通帳の一致」「設備資金と見積書の一致」は、面談前に必ず突合されます。1円単位の整合が信頼を作ります。

8. 事業の見通し(月平均の損益計画)

創業当初と軌道に乗った後(1年後など)の2時点で、売上・原価・経費・利益を書きます。審査の核心は売上の根拠です。

型(飲食の例): 客単価4,000円 × 席数20 × 回転1.5 × 営業25日 × 稼働率60% = 月商180万円 型(受託の例): 既存見込み客3社 × 月額20万円 + 新規1社/四半期 = 初年度月平均70万円

「希望」ではなく「計算式」で書くこと。そして利益から経営者の生活費と公庫への返済額を引いても回ることを示せれば、計画書としては合格圏です。

記載例:カフェ開業の資金計画表(7番の欄)

必要な資金 金額 調達の方法 金額
店舗保証金・礼金 1,200,000円 自己資金 3,000,000円
内装工事(見積書どおり) 4,500,000円 親族からの借入(月3万円返済) 1,000,000円
厨房機器(見積書どおり) 1,800,000円 公庫からの借入(希望額) 6,000,000円
什器・備品・レジ 700,000円
当初の仕入・消耗品 300,000円
運転資金(月経費75万円×2か月分) 1,500,000円
合計 10,000,000円 合計 10,000,000円

左右の合計が一致し、自己資金300万円は通帳の残高・積立履歴と、内装450万円と厨房180万円は見積書と一致している——この状態が「提出できる資金計画表」です。自己資金比率は3割で、審査上も安定したバランスです。

月別収支計画書:作っておくと面談で勝てる

所定様式では求められない場合もありますが、創業から12か月の月別の売上・経費・資金残高を別紙で用意しておくと、面談の説得力が一段変わります。ポイントは2つ。

  • 立ち上がりは保守的に: 初月から目標月商に到達する計画は信用されません。3〜6か月かけて目標に到達するカーブを描き、その間の赤字を運転資金(借入)で賄う構図を見せる
  • 資金残高がマイナスにならない: 月末資金残高の行を必ず置き、最も苦しい月でも資金が残ることを示す。これが「借入額の根拠」の最終証明になります

税理士からのひとこと(監査目線):計画書を数百枚見てきた立場から言うと、通る計画書は「数字が3か所で一致している」計画書です。①自己資金の額が通帳と一致、②設備資金が見積書と一致、③売上・経費・返済・生活費の流れが月別収支で一致——。逆に落ちる計画書は、欄ごとに数字の出どころが違い、面談で突かれて崩れます。もうひとつ。経費の書き漏れ(社会保険料・税金・カード決済手数料・廃棄ロス・自分の生活費)は、審査担当者には一瞬で分かります。経費を実務水準まで盛り込んで、それでも返済が回る売上ラインを逆算する——この順番で作った計画書は、多少売上計画が保守的でも強いのです。

提出前の最終チェックリスト

  • 創業計画書の数字と、通帳・見積書・賃貸借契約書の数字が一致しているか
  • 売上計画が計算式(単価×数量×稼働)で説明できるか
  • 経費に社会保険料・決済手数料・雑費・自分の生活費(個人の場合は事業主貸の感覚)まで入っているか
  • 利益 −(生活費+月返済額)がプラスか
  • 既存借入をすべて記載したか
  • 誤字・空欄がないか(空欄は「考えていない」と読まれます)
  • すべてのページのコピーを手元に残したか(面談は提出した計画書を見ながら行われます)

よくある質問(FAQ)

Q. 創業計画書は手書きとデータ入力のどちらがよいですか? A. どちらでも審査上の差はありません。修正のしやすさと読みやすさから、データ作成をおすすめします。重要なのは中身の整合です。

Q. 売上の根拠になる「見込み客」がまだいません。どう書けばよいですか? A. 商圏データ(人通り・競合店の入り具合)、前職での顧客基盤、SNSのフォロワー・予約サイトの事前登録など、代わりになる客観材料を集めて計算式に落とします。何の根拠もない数字を書くより、保守的でも根拠のある数字が信頼されます。

Q. 計画書の作成を専門家に丸投げしてもよいですか? A. 丸投げは危険です。面談では計画書の数字を自分の言葉で説明できるかが見られており、「作ってもらった計画書」は質問で必ず露呈します。専門家の正しい使い方は、数字の根拠づけ・経費の網羅・整合チェックの壁打ち役です。

Q. 事業計画書(自由様式)と創業計画書は別に必要ですか? A. 公庫の審査は所定の創業計画書が基本です。詳細な事業計画書(自由様式)や月別収支計画書は補足資料として添付でき、特に調達額が大きい場合や事業モデルが複雑な場合に有効です。

Q. 法人設立前と設立後、どちらで申し込むのがよいですか? A. どちらも可能です。設立前に個人として申し込む場合は、設立予定の内容(商号・資本金・役員)を計画書に記載します。設立後なら履歴事項全部証明書が必要です。設立費用・資本金と自己資金の関係が変わるため、申込みのタイミングは資金計画全体で設計してください。

Q. 一度落ちた場合、計画書は作り直すべきですか? A. 必ず作り直してください。否決理由(自己資金・経験・計画の整合)を推定し、改善の事実(自己資金の積み増し・受注の獲得)を反映した「別物の計画書」で、6か月程度の期間を置いて再挑戦するのが定石です。

まとめ

  • 必要書類は「申込書・創業計画書・通帳・本人確認」+該当書類。一度で揃えて出す
  • 創業計画書8項目の核心は「経験と動機の接続(1・2)」「数字の根拠(7・8)
  • 自己資金は通帳と、設備資金は見積書と、1円単位で一致させる
  • 売上は計算式で、経費は実務水準で網羅し、生活費と返済を引いても回ることを示す
  • 月別収支計画書(資金残高つき)を別紙で用意すると、借入額の根拠が完成する

創業計画書の壁打ちは Iroae税理士事務所へ

Iroae税理士事務所では、創業計画書のドラフトレビュー(数字の整合・経費の網羅チェック)、売上根拠の組み立て、月別収支計画書の作成支援、面談の想定問答まで、「自分の言葉で説明できる計画書」づくりを伴走型でご支援しています。書き始める前の構想段階からのご相談が、結果的に最短です。

※本記事は2026年時点の一般的な情報をもとに、税理士の監修のもと作成しています。様式・必要書類は変更される場合があります。申込みにあたっては、必ず日本政策金融公庫の最新の案内をご確認ください。

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