創業融資の面談で聞かれること【2026年版】質問リストと答え方の型を税理士が解説

創業融資の面談は、尋問ではなく「計画書の答え合わせ」です。担当者の手元にはあなたの創業計画書があり、質問のほぼすべては計画書に書いた内容を、自分の言葉で説明できるかの確認です。

COLUMN資金調達・融資

創業融資の面談は、尋問ではなく「計画書の答え合わせ」です。担当者の手元にはあなたの創業計画書があり、質問のほぼすべては計画書に書いた内容を、自分の言葉で説明できるかの確認です。

つまり対策はシンプルで、①計画書の数字の根拠を全部言えるようにする、②聞かれることが分かっている定番質問への答えを準備する、③書類の原本を漏れなく持参する——の3つです。本記事では、実際の面談で聞かれる質問リストと答え方の型、NG回答、当日の実務までまとめます。

面談の基本情報

  • 場所・時間: 公庫の支店(オンライン面談の場合もあります)。所要は30分〜1時間程度
  • 服装: スーツである必要はありませんが、清潔感のあるビジネスカジュアルが無難です。業種柄(美容・クリエイティブ等)はその仕事らしい身だしなみで構いません
  • 同席: 税理士等の同席が認められる場合もありますが、答えるのは本人です。専門家が代わりに答える構図は逆効果になります
  • 雰囲気: 圧迫ではなく、事業を理解しようとする確認の場です。過度に緊張する必要はありません

定番質問リストと答え方の型

1. 創業の動機・経緯

聞かれ方: 「なぜこの事業を始めようと思ったのですか」

経験→気づき→準備の順で2分以内に。「前職で◯年、△△を担当し、□□という需要を確信した。2年かけて資金と顧客を準備し、物件も確保できたため創業する」——思いの強さより準備の事実を語ります。

2. 経歴・経験

聞かれ方: 「この業界のご経験は?」「前職ではどんな業務を?」

計画書の略歴欄に沿って、申込事業との接点を具体的に。売上目標の達成経験・管理した人数・担当した顧客層など、数字で語れると強い項目です。未経験分野の場合は、研修・修行・パートナーの存在など「経験の代替」を示します。

3. 売上計画の根拠(最重要)

聞かれ方: 「月商◯◯万円の根拠を教えてください」「初月からこの売上になりますか」

計算式で即答できることがすべてです。「客単価4,000円×席数20×回転1.5×25日×稼働率60%です。稼働率は近隣の同業◯店の平日昼の入りを実際に数えた結果から保守的に置きました」——ここで詰まると、計画書全体の信頼が崩れます。立ち上がり期の数字は「初月は6割、6か月で計画値に到達」のような現実的なカーブで説明します。

4. 自己資金の貯め方・出所

聞かれ方: 「この預金はどうやって貯めましたか」「この入金は何ですか」

通帳を見ながら聞かれます。毎月の積立は堂々と説明し、大口入金(退職金・贈与・売却代金)は**出所と性格(贈与なら返済不要であること)**を正直に。ここで曖昧な回答をすると見せ金を疑われます。

5. 既存の借入・支払状況

聞かれ方: 「住宅ローンやカードローンはありますか」「毎月の返済額は?」

信用情報は照会済みと考え、全部正直に。隠して後から判明するのが最悪のパターンです。

6. 生活費と家族の理解

聞かれ方: 「ご家族の生活費は毎月いくらですか」「配偶者は創業に賛成していますか」

事業の利益から生活費と返済を引いて回るか、という審査の核心です。「生活費は月◯万円。配偶者の収入が月◯万円あり、事業が軌道に乗るまでの世帯の資金繰りも別途確保しています」と、世帯の資金計画で答えます。

7. 計画が下振れたときの対応

聞かれ方: 「売上が計画の半分だったらどうしますか」

これは「縁起でもない質問」ではなく、リスク認識を確認する加点問題です。「固定費を◯万円まで圧縮できる」「◯か月分の運転資金を確保している」「最悪の場合は自分がアルバイトで補填してでも返済する」など、具体的な撤退・継続ラインを持っていることを示します。

8. 借入額・使途の確認

聞かれ方: 「600万円の内訳をもう一度教えてください」「もし減額になったら事業は成立しますか」

資金計画表のとおりに即答。減額の打診には、「設備のこの部分を中古に切り替えて対応します」など優先順位を準備しておくと交渉がスムーズです。

面談の流れを時系列で再現(モデル60分)

時間 内容
0〜5分 挨拶・本人確認・面談の趣旨説明
5〜15分 経歴と創業の動機(計画書1・2欄の確認)
15〜30分 事業内容と売上根拠(3・4・8欄。最も時間を使う部分)
30〜40分 自己資金の確認(通帳を見ながら。7欄との突合)
40〜50分 既存借入・生活費・家族の状況
50〜60分 借入額・使途の最終確認、追加資料の依頼、今後の流れの説明

時間配分から分かるとおり、面談の山場は**15〜40分の「売上根拠と自己資金」**の25分間です。準備時間の8割をここに投下するのが、最も効率の良い面談対策です。

NG回答集:これを言うと評価が下がる

  • 売上はやってみないと分かりません」→ 根拠の放棄。保守的でも計算式で答える
  • 生活費は何とかなります」→ 数字で答えられない=資金管理能力への疑問
  • 税理士に任せているので数字は分かりません」→ 計画書が借り物だと自白する最悪の回答
  • 絶対に成功します」(根拠なし)→ リスク認識の欠如と受け取られます
  • 借入・延滞の申告漏れ→ 金額の問題ではなく信頼の問題になります

想定問答の作り方:3ステップ

  1. 計画書を音読して、説明できない数字に印をつける: 自分で書いた(または手伝ってもらった)数字でも、口頭で根拠を言えないものが必ず見つかります
  2. 印のついた数字ごとに「根拠カード」を作る: 「月商180万円=客単価4,000円×…」のように、1枚1数字で計算式と出典(実地調査・前職実績)をメモ化
  3. 第三者に質問役をやってもらう: 配偶者・知人でも効果はあります。「なぜ?」「本当に?」「下がったら?」の3つを繰り返してもらうだけで、本番の8割はカバーできます

この準備は面談のためだけではありません。開業後に金融機関・取引先へ事業を説明する場面で、そのまま使える資産になります。

当日の持ち物チェックリスト

  • 提出済みの創業計画書の控え(面談はこれを見ながら進みます)
  • 通帳の原本(自己資金の確認用。ネット銀行は明細を印刷)
  • 見積書・賃貸借契約書などの原本
  • 運転免許証等の本人確認書類・印鑑
  • 既存借入の返済予定表
  • 補足資料(月別収支計画書・商品写真・店舗図面・SNSの実績など)

補足資料は求められなくても持参し、「資料があります」と差し出せると、準備の質が伝わります。

税理士からのひとこと(監査目線):面談対策で私たちが必ずやるのは「自分の計画書への反対尋問」の練習です。計画書を渡して、私が審査担当者役で「この売上の根拠は」「この経費は安すぎませんか」「下振れしたら」と突っ込み続ける——30分のロールプレイで、答えに詰まる箇所=計画書の弱点が全部洗い出されます。本番までにその穴を計画書の修正か想定問答で塞げば、面談は「準備したことを話すだけの場」になります。もう一つ、面談で最も印象を左右するのは流暢さではなく、数字を1つも資料を見ずに言えることです。月商・客単価・家賃・人件費・借入希望額・毎月の返済額——この6つの数字の暗唱は、最低限の仕上げとして必ずやってください。

面談後の流れ

  1. 現地確認: 店舗・事務所の確認が行われる場合があります
  2. 審査結果の連絡: 面談からおおむね1〜2週間で電話・書面で連絡
  3. 契約手続き: 承諾後、契約書類の取り交わし→数日で着金
  4. 減額承認の場合: 提示された額で進めるか、資金計画を組み直すかを判断します

申込みから着金までの全体は1〜1.5か月。開業日から逆算したスケジュール管理は、ピラー記事「創業融資完全ガイド」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 面談で落ちる人の共通点はありますか? A. ①計画書の数字を自分で説明できない、②自己資金の出所が曖昧、③既存借入の申告漏れ——の3つに集約されます。逆に言えば、この3つを潰せば面談で落ちる確率は大きく下がります。

Q. 緊張して上手く話せる自信がありません。 A. 流暢さは評価項目ではありません。たどたどしくても、数字と根拠を正直に答えられれば十分です。どうしても不安なら、想定問答を紙にして持ち込み、確認しながら答えても問題ありません。

Q. オンライン面談と対面で違いはありますか? A. 内容は同じです。オンラインの場合は通帳・書類の事前送付や画面提示の段取りを確認しておきましょう。回線・静かな環境の準備も忘れずに。

Q. 面談で追加資料を求められました。不利なサインですか? A. むしろ前向きに検討しているサインであることが多いです。求められた資料は速く・正確に出すこと自体が、事業者としての評価になります。

Q. 配偶者や共同経営者も同席すべきですか? A. 共同経営者(役員)は同席が望ましい場合があります。配偶者は必須ではありませんが、家族の理解を問われた際に「同意書」や具体的な説明ができる準備をしておくと安心です。

まとめ

  • 面談は計画書の答え合わせ。対策の本体は「数字の根拠を自分の言葉で言える」状態にすること
  • 定番質問は「動機・経験・売上根拠・自己資金の出所・既存借入・生活費・下振れ対応・使途」の8系統
  • 月商・客単価・家賃・人件費・借入額・返済額の6つの数字は暗唱できるように
  • 借入・延滞は正直に。隠し事の発覚は金額以上のダメージ
  • 持ち物は計画書の控えと通帳の原本が主役。補足資料の持参は準備の質の証明になる

面談前の模擬練習は Iroae税理士事務所へ

Iroae税理士事務所では、創業計画書への「反対尋問」形式の模擬面談、想定問答集の作成、弱点箇所の計画書修正まで、面談直前の仕上げをご支援しています。面談日が決まったら、1週間前までにご相談いただければ間に合います。

※本記事は2026年時点の一般的な情報をもとに、税理士の監修のもと作成しています。面談の運用・所要時間は支店・時期により異なる場合があります。最新の手続きは日本政策金融公庫の案内をご確認ください。

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