フリーランスの会計ソフトはどう選ぶ?税理士依頼との使い分けと2026年の経理対応【freee・マネーフォワード・弥生を比較】

フリーランス向けにfreee・マネーフォワード・弥生の会計ソフト選定ポイント、インボイス制度の登録判断、電子帳簿保存法対応、税理士依頼との判断軸を解説。

COLUMN個人事業主・フリーランス

「請求書は出せるけれど、帳簿のつけ方がよく分からない」「確定申告の時期になると、領収書の山を前に毎年憂うつになる」。フリーランスとして働き始めると、本業以外に経理という避けて通れない作業が必ずついて回ります。

しかも近年は、インボイス制度(2023年10月開始)や電子帳簿保存法の改正(電子取引データの電子保存義務化)など、フリーランスが押さえておくべき制度が一気に増えました。「とりあえず会計ソフトを入れればいい」という時代から、「自分の状況に合った経理体制をきちんと選ぶ」時代へと変わっています。

この記事では、税理士の視点から、フリーランス向けの会計ソフトの選び方、主要3製品(freee会計・マネーフォワード クラウド・弥生)の比較、そして「会計ソフトで自分でやる」のか「税理士に依頼する」のかの判断軸まで、2026年時点の実務に沿って整理します。

フリーランスに経理処理が欠かせない理由

フリーランス(個人事業主)は、原則として毎年自分で確定申告を行う必要があります。一定の所得がある人は、1年間の売上と経費を集計し、所得税を計算して申告・納税しなければなりません。

このとき重要になるのが、日々の取引を記録した「帳簿」です。帳簿づけと書類保存をきちんと行うことには、次のような意味があります。

  • 確定申告書を正しく作成するための土台になる
  • 青色申告を選ぶと、最大65万円(または55万円・10万円)の青色申告特別控除など、節税につながる特典を受けられる
  • 経費を漏れなく計上でき、払いすぎる税金を防げる
  • インボイス制度・電子帳簿保存法といった近年の制度に対応できる

なかでも見落とされがちなのが、青色申告特別控除の「65万円」と「55万円」の違いです。複式簿記による記帳など一定の要件を満たすと55万円の控除が受けられますが、さらに65万円の控除を受けるには、e-Taxによる電子申告(電子帳簿保存法に基づく優良な電子帳簿の保存でも可)が要件になります。つまり、同じように帳簿をつけても、紙で申告するか会計ソフトの電子申告機能を使うかで、控除額が10万円変わってくるということです。会計ソフト選びが節税に直結するのは、まさにこの点です。

裏を返せば、帳簿づけを後回しにしておくと、申告期限直前に膨大な作業が押し寄せ、ミスや控除の取りこぼしにつながりやすくなります。だからこそ、会計ソフトや税理士をうまく活用して、経理を「仕組み化」しておくことが大切です。

なお、確定申告の義務の有無(いくら以上の所得で申告が必要か)や青色申告の承認手続きなどは、人によって状況が異なります。詳しい判定は、国税庁の情報を確認するか税理士にご相談ください。

クラウド会計ソフトでできること

かつての会計ソフトは、パソコンにインストールして使う「インストール型」が主流でした。現在は、インターネット上で動く「クラウド会計ソフト」が広く使われています。フリーランスがクラウド会計ソフトを使う主なメリットは次のとおりです。

銀行・クレジットカードとの連携で入力を自動化

クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカード、決済サービスなどと連携し、取引データを自動で取り込めるのが大きな特徴です。取り込んだデータをもとに勘定科目を提案してくれるため、手入力の手間を大幅に減らせます。

事業用の口座・カードを分けて連携しておくと、プライベートの支出と混ざらず、経理がぐっと楽になります。

スマホアプリで領収書を撮影して記帳

多くのクラウド会計ソフトには、スマートフォン用アプリが用意されています。外出先で受け取った領収書をその場で撮影して取り込んだり、経費を入力したりできるため、「あとでまとめて」をためずに済みます。

確定申告書類を自動で作成

日々の記帳ができていれば、確定申告の時期には画面の案内に沿って入力するだけで、青色申告決算書や確定申告書を作成できます。電子申告(e-Tax)にも対応している製品が多く、自宅から申告を完結させることも可能です。

前述のとおり、青色申告特別控除の65万円を受けるには、複式簿記による記帳など一定の要件に加えて、e-Taxによる電子申告(または電子帳簿保存法に基づく優良な電子帳簿の保存)が要件となるため、この電子申告機能は単なる利便性だけでなく節税の面でも重要です。会計ソフトの電子申告機能を使えば65万円、これらの要件を満たさず紙で提出すると(他の要件を満たしていても)55万円にとどまる、という差が生まれます。会計ソフトを選ぶ際は、e-Tax対応の有無をあわせて確認しておきましょう。

税理士・会計事務所と画面を共有できる

クラウド会計ソフトは、データをインターネット上で管理するため、税理士・会計事務所と同じ画面を共有しながら相談できます。「普段は自分で入力し、決算や申告のチェックだけ税理士に任せる」といった柔軟な使い方ができるのも、クラウドならではの利点です。

フリーランス向け主要クラウド会計ソフトを比較

ここでは、フリーランスがよく検討する代表的なクラウド会計ソフト3つを取り上げます。いずれも個人事業主向けのプランが用意されており、銀行・カード連携、確定申告書類の作成、電子申告に対応しています。

ソフト 提供元 電子申告(e-Tax) 特徴 こんな人に向く
freee会計 フリー株式会社 対応(65万円控除に必要) 簿記の知識が浅くても、質問に答える形で記帳・申告を進めやすい設計 はじめて会計ソフトを使う人、簿記に不安がある人
マネーフォワード クラウド確定申告 株式会社マネーフォワード 対応(65万円控除に必要) 口座・サービス連携の幅が広く、家計簿アプリ等との親和性も高い 連携データを軸に効率化したい人、複数の金融サービスを使う人
弥生(やよいの白色申告/青色申告 オンライン) 弥生株式会社 対応(65万円控除に必要) 会計ソフトの老舗で利用者が多く、サポート体制が手厚い サポートを重視する人、定番の安心感を求める人

※料金プランや機能は改定されることがあります。各社とも複数の料金プランや無料お試し期間を用意していることが多いため、最新の料金・機能・無料体験の有無は必ず公式サイトで確認してください。一部プランには無料で使える範囲が設けられている場合もあります。

会計ソフトを選ぶときの3つのポイント

  1. 自分の簿記レベルに合うか:簿記に不安があるなら、入力をガイドしてくれる設計の製品が安心です。逆に簿記の知識があるなら、操作の自由度や効率を重視して選べます。
  2. よく使う銀行・カード・決済サービスと連携できるか:普段使っている口座やサービスと連携できるかどうかで、入力の自動化の効果が大きく変わります。
  3. 税理士との連携を想定するか:将来的に税理士へ依頼する可能性があるなら、その税理士が対応している(使い慣れている)ソフトを選んでおくと、引き継ぎがスムーズです。

迷ったときは、無料体験を使って実際の操作感を試し、「自分が毎日(毎月)続けられそうか」で判断するのがおすすめです。

2026年のフリーランスが押さえるべき2つの制度

会計ソフトを選ぶうえで、近年の制度変更も無視できません。とくにフリーランスに影響が大きいのが、インボイス制度と電子帳簿保存法です。

インボイス制度への対応

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は2023年10月に始まりました。取引先が消費税の仕入税額控除を受けるためには、原則として「適格請求書(インボイス)」が必要になります。

フリーランスにとっての論点は、大きく次の2つです。

  • 適格請求書発行事業者として登録するかどうか:登録すると消費税の申告・納税義務が生じます。一方で登録しないままだと、取引先(買い手)はあなたへの支払いについて仕入税額控除が制限されるため、取引上の影響を受ける可能性があります。
  • 登録した場合の納税負担:一定の要件を満たす免税事業者からインボイス発行事業者になった人向けに、納める消費税額を売上税額の2割に抑えられる「2割特例」などの負担軽減措置が設けられています。

ここで2026年時点で押さえておきたいのが、各種措置に期限がある点です。

  • 2割特例の適用期間:2割特例は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間が対象です。個人事業主(暦年課税)の場合、2026年分(2026年12月までの期間)が最後の対象となり、その後も自動的に2割で済むわけではありません。
  • 取引先側の経過措置(仕入税額の一部控除):あなたが登録しない(免税事業者のままでいる)選択をした場合でも、取引先(買い手)は経過措置として、あなたへの支払いに含まれる消費税相当額の一定割合を控除できます。令和8年度(2026年度)税制改正で引き下げ時期が後ろ倒しされ、割合は段階的に縮小して、2023年10月~2026年9月は80%、2026年10月~2028年9月は70%、2028年10月~2030年9月は50%、2030年10月~2031年9月は30%、その後は控除不可となる見込みです。最初の引き下げ(80%から70%)が2026年10月に控えているため、登録しない場合でも取引先との関係に影響が出る時期が近づいている点に注意が必要です。

登録すべきかどうかは、取引先の状況(相手が課税事業者中心か、一般消費者中心か)や自分の売上規模によって判断します。取引先が課税事業者中心なら、登録して仕入税額控除を確保したほうが取引上有利になりやすく、一般消費者中心なら免税事業者のままでも取引への影響は小さく済む傾向があります。判断を誤ると手取りや取引関係に直接影響する重要な選択なので、取引先の構成と売上規模、2割特例による負担軽減の効果を見比べて決めましょう。なお、上記の適用期間や割合・要件は今後変更される可能性があるため、最新情報は国税庁の案内をご確認ください。

なお、2割特例の終了後についても、個人事業主には負担軽減策が用意されています。令和8年度税制改正で新設された「3割特例」により、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業主は、令和9年(2027年)分・令和10年(2028年)分の2年間の確定申告に限り、納める消費税額を売上にかかる消費税額の3割(売上税額の7割を控除)にできます。2割特例と同様に事前の届出は不要で、確定申告書にこの特例の適用を受ける旨を付記するだけで利用できます(法人は対象外です)。

会計ソフトを選ぶ際は、インボイスに対応した請求書の発行や、受け取ったインボイスの管理ができるかも確認しておくと安心です。

電子帳簿保存法(電子取引データの電子保存義務化)への対応

電子帳簿保存法の改正により、メールやインターネットで受け取った請求書・領収書などの「電子取引データ」は、原則として電子データのまま保存することが義務化されています(2024年1月から本格適用)。これはフリーランスを含むすべての事業者が対象です。

具体的には、次のようなデータが該当します。

  • メールに添付されて届いた請求書・領収書のPDF
  • ネット通販やクラウドサービスの利用明細・領収書をダウンロードしたもの
  • 電子契約サービスでやり取りした書類

これらを「印刷して紙で保存すればよい」という従来の感覚のままだと、要件を満たさなくなる場合があります。電子データの保存には、改ざん防止や検索できる状態にしておくといった一定のルールがあるため、対応が必要です。

クラウド会計ソフトの多くは、この電子取引データの保存に対応する機能(または関連サービス)を備えています。会計ソフト選びの際は、電子帳簿保存法への対応状況も確認しておくとよいでしょう。要件の詳細は国税庁の資料を確認するか、税理士にご相談ください。

会計ソフトで自分でやる?税理士に依頼する?

会計ソフトを導入すれば経理は効率化できますが、それでも「入力や申告に充てる時間が取れない」「制度が複雑で自分の判断に自信が持てない」という悩みは残ります。そんなときの選択肢が税理士への依頼です。フリーランスの依頼パターンは、大きく次の3つに整理できます。

パターン1:会計ソフトで自分ですべて行う(自計化)

日々の記帳から確定申告まで、自分で会計ソフトを使って完結させる方法です。費用はソフトの利用料のみで済み、最もコストを抑えられます。一方で、制度対応や判断ミスのリスクは自分で負うことになります。取引がシンプルで、簿記や税務にある程度対応できる人に向いています。

パターン2:会計ソフト+税理士の併用(中間プラン)

普段の入力は自分で会計ソフトに行い、決算・確定申告のチェックや、インボイス・節税の相談だけ税理士に任せる方法です。コストを抑えつつ、要所は専門家に確認してもらえるため、多くのフリーランスにとってバランスの取れた選択肢になります。クラウド会計ソフトの画面共有機能は、この使い方と相性が良いのが特長です。

パターン3:記帳から申告まで税理士に依頼する(丸投げ)

領収書や資料を渡せば、記帳代行から確定申告まで税理士に任せる方法です。経理の時間をほぼゼロにでき、その分を本業に集中できます。費用は最もかかりますが、「経理に時間を使うより、本業で稼ぐほうが効果が大きい」という人には合理的な選択です。

税理士に依頼する費用の考え方

税理士への依頼費用は、依頼する範囲(確定申告のみ・記帳代行込み・年間の顧問契約など)、売上規模、取引量によって変わります。一般的には、「確定申告だけ」「記帳代行も含める」「顧問として継続的に相談する」のように、依頼範囲が広がるほど費用は上がります。

判断のポイントは、**「自分が経理に使っている時間を本業に充てたら、いくら稼げるか」**という視点です。経理に多くの時間を取られているなら、その時間を本業に回して得られる収益と、税理士費用を比べてみてください。費用以上のリターンが見込めるなら、依頼を検討する価値があります。

費用の具体的な目安は事務所や契約内容によって異なるため、見積もりを取って比較することをおすすめします。Iroae税理士事務所でも、ご状況をうかがったうえでお見積もりをご案内しています。

よくある質問(FAQ)

Q. フリーランスになったら、会計ソフトは必ず必要ですか? A. 法律で会計ソフトの利用が義務づけられているわけではありません。ただし、帳簿づけや書類保存は必要で、青色申告で控除を受けるには一定の要件があります。とくに青色申告特別控除の65万円は、複式簿記での記帳に加えてe-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿の保存)が要件となるため、会計ソフトの電子申告機能を使うと取りやすくなります。手作業より会計ソフトを使うほうが効率的で、近年の制度対応もしやすいため、多くのフリーランスにおすすめできます。

Q. 簿記の知識がなくても会計ソフトは使えますか? A. 質問に答える形で記帳・申告を進められる設計の製品もあり、簿記が初めての人でも使い始めやすくなっています。とはいえ、判断に迷う場面では税理士に確認すると安心です。会計ソフトと税理士の併用も有効です。

Q. インボイス発行事業者に登録すべきか分かりません。 A. 取引先の状況や売上規模で判断が分かれます。取引先が課税事業者中心なら、登録して仕入税額控除を確保したほうが取引上有利になりやすく、一般消費者中心なら免税事業者のままでも影響は小さく済む傾向があります。登録すると消費税の納税義務が生じますが、登録を機に課税事業者になった人は2割特例で納税額を売上税額の2割に抑えられ、その終了後も個人事業主は令和9年・令和10年分の確定申告で3割特例(納税額を売上税額の3割)を使えます。登録しない場合の取引先側の経過措置(控除割合)は2026年10月に80%から70%へ下がる(その後も段階的に縮小)ため、影響時期が近づいています。取引先の構成と売上規模、特例による負担軽減の効果を見比べて決めましょう。

Q. メールで届いた請求書は印刷して保存すればよいですか? A. 電子帳簿保存法により、電子取引データは原則として電子データのまま保存することが求められています。印刷した紙の保存だけでは要件を満たさない場合があるため、会計ソフトの保存機能などを活用しましょう。

まとめ

フリーランスにとって経理は避けられない作業ですが、会計ソフトと税理士をうまく使えば、負担を大きく減らせます。

  • フリーランスは原則として確定申告が必要で、帳簿づけは節税や正確な申告の土台になる
  • クラウド会計ソフト(freee会計・マネーフォワード クラウド・弥生など)は、口座連携・スマホ記帳・申告書作成・税理士との画面共有で経理を効率化できる
  • 青色申告特別控除の65万円はe-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿の保存)が要件で、会計ソフトの電子申告機能を使うかどうかで控除額が55万円との間で10万円変わる
  • 会計ソフトは「簿記レベル」「使う金融サービスとの連携」「電子申告(e-Tax)対応」「税理士連携の想定」で選ぶ
  • インボイスの2割特例は2026年分が最後の対象だが、個人事業主は終了後も令和9年・令和10年分の確定申告で3割特例(納税額を売上税額の3割)を使える。取引先側の経過措置も2026年10月に80%→70%へ下がる(その後も段階的に縮小)など、期限のある論点に注意する
  • 「自分でやる/併用する/丸投げする」は、経理にかかる時間と本業の収益を比べて判断する

会計ソフトの選定、インボイス登録の判断、電子帳簿保存法への対応、税理士に依頼すべきかの見極めなど、フリーランスの経理にはケースごとの判断が求められます。本記事は一般的な解説であり、税率・金額・期限・各制度の最新の要件は変更される可能性があります。実際の手続きにあたっては、国税庁の情報をご確認いただくか、税理士にご相談ください。

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Iroae税理士事務所(旧 カスタマーグロース合同会社)では、フリーランス・個人事業主の方の経理体制づくりをサポートしています。クラウド会計ソフトの導入や使い方、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応、確定申告、税理士への依頼範囲の設計まで、ご状況に合わせてご提案いたします。

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