クラウド会計ソフト、個人事業主におすすめなのは?freee・マネーフォワード・弥生を税理士が徹底比較【2026年版】

個人事業主向けクラウド会計選び:65万円青色申告控除に向けた複式簿記+e-Tax必須、freee(初心者向け)・マネーフォワード(規模拡大向け)・弥生(サポート重視向け)の特徴、5つの選定基準(複式簿記対応、銀行連携、インボイス・電帳法対応度、操作性、料金)。

COLUMN個人事業主・フリーランス

「個人事業主になったけれど、帳簿づけや確定申告をどうすればいいのか分からない」「クラウド会計ソフトが便利らしいけれど、freee・マネーフォワード・弥生のどれを選べばいいの?」——独立・開業されたばかりの方から、こうしたご相談を本当によくいただきます。

結論から申し上げると、2026年現在の個人事業主にとって、クラウド会計ソフトの導入はほぼ必須といってよい状況になっています。なぜなら、インボイス制度(2023年10月開始)と電子帳簿保存法の改正(電子取引データの電子保存は2022年1月施行・宥恕措置を経て2024年1月から本格適用)によって、紙とエクセルだけでの経理処理が現実的に難しくなってきているからです。

この記事では、税理士の視点から、3大クラウド会計ソフトを「料金」「対応制度」「使いやすさ」「銀行・カード連携」「e-Tax連携」「サポート」の軸で比較し、目的別のおすすめを分かりやすく整理します。

※本記事の制度・金額は2026年5月時点の一般的な情報に基づきます。各ソフトの料金プランやキャンペーン条件は変更されることがあるため、契約前には必ず各社公式サイトおよび国税庁の最新情報をご確認ください。

なぜ今、個人事業主にクラウド会計が必要なのか

手書き・エクセル帳簿の限界

確定申告では「確定申告書」や「所得税青色申告決算書」を作成するために、「仕訳帳」「現金出納帳」「総勘定元帳」といった帳簿の記入が必要です。これを手書きやエクセルで管理すると、1つの取引を複数の帳簿に転記しなければならず、どこか1か所を間違えると関連する書類すべてを直す羽目になります。

クラウド会計ソフトを使えば、取引や仕訳を一度入力するだけで、関連するほかの帳簿・書類が自動で作成・更新されます。後から間違いを見つけても、仕訳を1か所修正すれば、ほかの書類にも自動で反映されます。この「自動化」こそがクラウド会計の最大のメリットです。

65万円の青色申告特別控除には「電子化」がほぼ必須

個人事業主が節税で必ず押さえたいのが、**青色申告特別控除(最大65万円)**です。ただし、65万円の満額控除を受けるには次の要件を満たす必要があります。

  1. 複式簿記で記帳していること
  2. 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること
  3. e-Taxによる電子申告を行うこと、または優良な電子帳簿の保存(訂正・削除の履歴が残る、帳簿間で相互に関連性を確認できる、一定の検索機能を備える等の要件を満たし、法定申告期限までに所轄税務署へ届出書を提出すること)を行っていること

3つ目の電子要件を満たさない場合、控除額は55万円にとどまります。「優良な電子帳簿の保存」はシステム要件を満たしたうえで届出書の提出も必要で手間がやや多いため、満額の65万円控除を狙ううえで現実的に最も取り組みやすいのは、複式簿記に対応したクラウド会計ソフトでe-Tax電子申告を行う方法です。今回紹介する3ソフトはいずれも複式簿記とe-Tax電子申告に対応しています。

インボイス制度・電子帳簿保存法への対応

2023年10月に始まったインボイス制度では、適格請求書(インボイス)を発行・保存する事務が増えました。インボイス登録した課税事業者はもちろん、取引先との関係で登録を検討する免税事業者にとっても、登録番号入りの請求書発行やインボイス区分での記帳ができるソフトが望ましいといえます。

また、電子帳簿保存法の改正により、メールやネット通販などで受け取った請求書・領収書(電子取引データ)は、原則として電子データのまま保存することが求められます。この電子取引データの電子保存は2022年1月に施行され、2023年末までの宥恕措置を経て2024年1月から本格適用されています。クラウド会計ソフトの多くは、電子データの保存や検索要件(取引年月日・金額・取引先での検索)に対応した保存機能を備えており、この義務化への対応にも役立ちます。なお、システム整備が間に合わない等の相当の理由があり、税務調査の際にデータのダウンロードの求めと書面での提示・提出に応じられる場合には、検索要件等を不要とする猶予措置が設けられています。とはいえ、最初からソフトで適切に保存しておくほうが調査対応も楽になります。

【補足】今後の改正動向 ― 青色申告特別控除は見直しが予定

2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱では、令和9年分以後の所得税について、青色申告特別控除の見直しが盛り込まれました。報じられている内容としては、現行55万円控除の一部縮小がある一方、e-Taxによる電子申告で受けられる65万円控除は維持され、さらにe-Tax+優良な電子帳簿の保存を満たす場合に「75万円控除」を新設する方向とされています。これはあくまで大綱段階の予定であり、最終的な要件・適用時期は今後の法案成立で確定します。いずれにせよ、電子化(とりわけ電子帳簿保存への対応)の重要性は今後さらに高まる見込みであり、クラウド会計ソフトを早めに使い慣れておく意義は大きいといえます。最新の確定内容は国税庁の公式情報でご確認ください。

個人事業主向け 3大クラウド会計ソフト比較

ここからは、個人事業主に人気の高い3つのクラウド会計ソフトを比較します。料金は「個人事業主向けの代表的なプラン」を想定した目安であり、最新の正確な金額・キャンペーンは各公式サイトでご確認ください。

なお、複式簿記・65万円控除/インボイス/電子帳簿保存法/e-Tax電子申告/銀行・クレカ連携は3ソフトとも対応・充実しており、ここでは差がつきません。実際に選ぶ際に効いてくるのは、下表の上段に並べた「操作の考え方」「サポート」「料金イメージ」といった、使い心地とコストの違いです。

比較軸 freee会計 マネーフォワード クラウド確定申告 やよいの青色申告 オンライン
特徴 簿記の知識が薄くても直感的に使える 他のMFサービスとの連携・経済圏が強い 会計ソフト国内実績が豊富、サポート手厚い
操作の考え方 質問に答える形式で仕訳を作成 簿記ベースだが自動化も強力 シンプルで取り組みやすい
サポート プランにより充実 プランにより充実 電話・メール等が手厚い
料金イメージ 月額制(年払い割引あり) 月額制(年払い割引あり) 初年度無料プランあり(条件・対象は時期により変動)
スマホアプリ あり(機能が豊富) あり あり
制度・連携対応 複式簿記・65万円控除/インボイス/電子帳簿保存法/e-Tax電子申告/銀行・クレカ連携にいずれも対応・充実 同左 同左

freee会計 ―「とにかく簡単に済ませたい」初心者向け

freee会計は、簿記の専門用語に不慣れな方でも使いやすいよう設計されているのが特徴です。「収入か支出か」「何に使ったか」といった質問に答えていく感覚で仕訳が作成でき、銀行口座やクレジットカードを連携すれば取引明細が自動で取り込まれます。確定申告の手続きもステップ形式で案内されるため、初めて確定申告をする方や、経理にできるだけ時間をかけたくない方に向いています。

マネーフォワード クラウド確定申告 ―「MF経済圏」を使う方向け

マネーフォワード クラウド確定申告は、家計簿アプリやMFのほかのサービスと連携しやすく、複数の口座・カードを横断して管理したい方に強みがあります。自動仕訳の精度も高く、事業が少し複雑な方や、将来的に法人化・規模拡大を見据えている方にも対応しやすい設計です。すでにマネーフォワードのサービスを使っている方なら、データの一元管理がしやすくなります。

やよいの青色申告オンライン ―「実績とサポート重視」の堅実派向け

弥生は会計ソフトの国内実績が長く、サポート体制の手厚さに定評があります。やよいの青色申告オンラインは画面がシンプルで取り組みやすく、初年度を無料で試せるプランが用意されている時期もあります(キャンペーンの条件・対象・期間は変動するため、申込前に公式サイトで必ず確認してください)。コストを抑えつつ、操作に迷ったときに相談できる安心感を重視する方に向いています。

税理士が考える「失敗しない選び方」5つの基準

ソフトのスペックを並べるだけでは、自分に合うものは選びきれません。実務で多くの個人事業主の方を見てきた税理士の視点から、選定時に押さえるべきポイントをお伝えします。

1. 「複式簿記 × e-Tax」に対応しているか

前述のとおり、青色申告特別控除65万円を狙うなら複式簿記とe-Tax電子申告(または優良な電子帳簿の保存)が前提です。今回の3ソフトはいずれも対応していますが、無料の家計簿アプリや簡易ソフトの中には複式簿記に非対応のものもあるため、確定申告で使う前提なら必ず対応状況を確認してください。

2. 自分の取引が「自動連携」でどれだけカバーできるか

クラウド会計の効率は、銀行口座・クレジットカード・電子マネー・決済サービスとの自動連携でほぼ決まります。ご自身が事業で使っている金融機関やサービスが連携対象に入っているかを、契約前に各社の連携先一覧でチェックすると失敗が減ります。

3. インボイス・電子帳簿保存法への対応度

課税事業者でインボイスを発行する方は、登録番号入りの請求書発行・インボイス区分での記帳ができると安心です。また、電子取引データの保存義務に対応するため、受け取った請求書・領収書をソフト内で保存・検索できる機能があるかも確認しましょう。

4. 操作の「相性」とサポート体制

会計ソフトは毎日のように触るものです。多くのソフトに無料お試し期間があるので、実際に1〜2件、自分の取引を入力してみて操作感を確かめることを強くおすすめします。困ったときに電話やチャットで相談できるかどうかも、続けられるかを左右します。

5. 料金は「総額」と「自分のプラン」で見る

料金は月額・年額だけでなく、確定申告機能やサポートが付くプランかどうかで変わります。「初年度無料」などのキャンペーンは魅力的ですが、2年目以降の料金や、必要な機能が含まれるプランの実額まで含めて比較することが大切です。

目的別・おすすめまとめ

  • とにかく簡単に終わらせたい/会計初心者 → freee会計
  • MFのサービスを使っている/将来の規模拡大も見据える → マネーフォワード クラウド確定申告
  • コストを抑えつつ実績とサポートを重視 → やよいの青色申告オンライン

3ソフトとも青色申告特別控除65万円・インボイス・電子帳簿保存法・e-Tax電子申告に対応しており、「これを選べば大失敗」というものはありません。最後は自分の取引の連携対応と、実際に触ってみた操作感で決めるのが、もっとも後悔のない選び方です。

ソフトを入れても「設定」と「初期の仕訳」でつまずく方が多い

クラウド会計ソフトは確かに便利ですが、実務の現場では次のようなご相談が後を絶ちません。

  • 勘定科目の設定が事業実態と合っておらず、決算で大きく直すことになった
  • 事業用とプライベートの支出の按分(家事按分)の考え方が分からない
  • インボイス登録をすべきか(免税事業者のままでよいか)の判断に迷う
  • 連携した取引の自動仕訳が間違ったまま登録され続けていた

特にインボイス登録の要否は、取引先の状況や売上規模によって有利・不利が変わるデリケートな判断です。登録すると課税事業者となり消費税の申告義務が生じる一方、登録しないと取引先から敬遠される可能性もあります。こうした「お金に直結する判断」は、ソフトの機能だけでは解決できません。最初の設定と方針さえ正しく決めれば、あとはソフトが自動化してくれます。だからこそ、導入の入口で一度プロに確認しておくことが、結果的に手間も税金も抑えることにつながります。

まとめ ― クラウド会計の選定・設定はIroae税理士事務所にご相談ください

2026年現在、個人事業主にとってクラウド会計ソフトは「あると便利」ではなく「ほぼ必須」のツールになりました。インボイス制度・電子帳簿保存法に対応し、青色申告特別控除65万円も狙える3大ソフト(freee会計・マネーフォワードクラウド・やよいの青色申告オンライン)から、ご自身の取引と相性のよいものを選んでいただくのが基本方針です。今後予定される控除見直し(電子化のさらなる優遇)も踏まえると、早めにクラウド会計へ移行しておく意義はますます高まっています。

とはいえ、「どのソフトが自分に合うか分からない」「インボイス登録をすべきか迷う」「設定や初期の仕訳に自信がない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。Iroae税理士事務所では、個人事業主・フリーランスの方向けに、クラウド会計ソフトの選定から初期設定、青色申告・インボイス・電子帳簿保存法への対応まで、税理士の視点でサポートしています。

オンラインでの無料相談も承っております。ご相談は当事務所ウェブサイトの「お問い合わせフォーム」から、お名前・ご連絡先・ご相談内容(開業時期やお使い予定のソフトなど)を添えてお送りください。フォーム送信後、担当者より日程調整のご連絡を差し上げ、オンライン面談の日時を確定します。開業まわりのお悩みやクラウド会計の導入でお困りの際は、お気軽にご連絡ください。


監修: Iroae税理士事務所 最終更新日: 2026年5月

※本記事は2026年5月時点の一般的な制度・情報に基づいて作成しています。税制やインボイス制度、電子帳簿保存法の取扱い、各会計ソフトの料金・仕様は改正・変更される場合があります。とくに令和8年度税制改正大綱に基づく青色申告特別控除の見直し(令和9年分以後)は、本記事公開時点では成立前の予定段階です。実際の申告・契約にあたっては、国税庁の最新情報および各ソフト公式サイトをご確認のうえ、判断に迷う場合は税理士にご相談ください。

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