会社設立の費用と流れ【2026年版】株式会社・合同会社の実費と設立後にやることまで税理士が解説

会社設立にかかる法定費用は、結論から言うと株式会社で約18万〜25万円、合同会社で約6万〜10万円が目安です(電子定款を使う場合)。そして意外に重要なのは、登記が終わった後——税務署・自治体・年金事務所への届出です。ここを落とすと、青色申告の承認や社会保険で後から不利益を被ります

COLUMN会社設立・法人化

会社設立にかかる法定費用は、結論から言うと株式会社で約18万〜25万円、合同会社で約6万〜10万円が目安です(電子定款を使う場合)。そして意外に重要なのは、登記が終わった後——税務署・自治体・年金事務所への届出です。ここを落とすと、青色申告の承認や社会保険で後から不利益を被ります。

本記事では、監査法人出身の税理士が、会社設立の費用の内訳・設立までの流れ・設立後にやるべき届出を、期限付きのチェックリストとしてまとめます。

会社設立の費用:内訳と合計

株式会社の場合

費用項目 紙の定款 電子定款
定款印紙代 40,000円 0円
定款認証手数料(公証人) 15,000〜50,000円 同左
登録免許税 資本金×0.7%(最低150,000円 同左
謄本代等の実費 数千円 数千円
合計の目安 約210,000〜250,000円 約170,000〜210,000円

定款認証手数料は資本金の額などで変わります(資本金100万円未満30,000円、100万〜300万円未満40,000円、300万円以上50,000円)。さらに、発起人が少人数の個人で一定の要件を満たす小規模なスタートアップ設立については、認証手数料を15,000円に引き下げる措置が設けられています。要件の詳細は日本公証人連合会・法務省の最新情報をご確認ください。

合同会社の場合

費用項目 紙の定款 電子定款
定款印紙代 40,000円 0円
定款認証 不要(0円) 不要(0円)
登録免許税 資本金×0.7%(最低60,000円 同左
合計の目安 約100,000円 約60,000〜70,000円

合同会社は定款認証が不要で登録免許税も最低60,000円のため、株式会社より約10万円以上安く設立できます(株式会社との使い分けは別記事「合同会社と株式会社の違い」で詳しく解説します)。

法定費用以外にかかるもの

  • 会社実印(代表者印)等の印鑑作成: 数千円〜2万円程度
  • 資本金: 費用ではありませんが、払い込む現金が必要です(1円から可能。ただし後述のとおり1円は推奨しません)
  • 専門家報酬: 司法書士に登記を依頼する場合5万〜10万円程度。設立代行サービスや無料の設立支援ツールを使えば自分でも手続きできます

電子定款は個人で対応すると電子署名の環境整備が必要なため、**実務上は「電子定款に対応した専門家・設立ツールを使って印紙代4万円を浮かせる」**のが定番です。

設立までの流れ:5ステップ

ステップ1:基本事項を決める(1〜2週間)

商号(会社名)・本店所在地・事業目的・資本金・事業年度(決算月)・役員構成を決めます。このうち後から変えにくく、税金に直結するのが次の3つです。

  • 資本金: 信用・許認可(建設業は500万円以上等)・融資・消費税に影響します。初年度から消費税の課税事業者になるかどうかの判定に資本金1,000万円のラインがあるため、特段の理由がなければ1,000万円未満で設定するのが定石です。見栄えと自己資金のバランスで、100万〜500万円程度がよく選ばれます
  • 決算月: 繁忙期と決算作業が重ならないように、また設立日から最初の決算までが極端に短くならないように設定します
  • 事業目的: 許認可(建設・古物・人材派遣等)を取る予定があるなら、その業務に必要な文言を最初から入れておきます

ステップ2:定款の作成・認証

定款(会社の根本規則)を作成します。株式会社は公証役場での認証が必要、合同会社は不要です。

ステップ3:資本金の払込み

発起人個人の銀行口座に資本金を振り込み、通帳のコピー等で払込証明を作ります(設立前は会社口座がまだ作れないため、個人口座を使います)。

ステップ4:法務局へ設立登記申請

登記申請書・定款・払込証明・印鑑届出書等を法務局に提出します。申請した日が会社の設立日になります(記念日に合わせたい場合は申請日を調整します。法務局の閉庁日(土日祝・年末年始)は設立日にできません)。登記完了までは1〜2週間程度です。

ステップ5:登記完了後の証明書取得

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書を取得します。銀行口座開設・各種届出で繰り返し使います。

【最重要】設立後にやること:期限付きチェックリスト

登記はゴールではなくスタートです。以下の届出に期限があります。

税務署への届出

届出 期限 重要度
法人設立届出書 設立から2か月以内 必須
青色申告の承認申請書 設立から3か月以内(最初の事業年度終了日が先に来る場合はその前日まで) 最重要
給与支払事務所等の開設届出書 開設から1か月以内 役員報酬を払うなら必須
源泉所得税の納期の特例の承認申請書 随時(承認月の翌月分から適用) 従業員10人未満なら推奨

**青色申告の承認申請を期限内に出し損ねると、初年度の赤字(欠損金)を翌期以降に繰り越せません。**創業初年度は赤字になりやすいだけに、この1枚の出し忘れが数十万〜数百万円の差になり得ます。設立したらまず税務届出、と覚えてください。

自治体・社会保険・労働保険

  • 都道府県・市町村への法人設立届: 自治体ごとの期限あり
  • 年金事務所(健康保険・厚生年金): 法人は社長1人でも強制加入です。設立から5日以内に新規適用届を提出します。「従業員がいないから未加入でよい」は誤りです
  • 労働基準監督署・ハローワーク: 従業員を雇用したら労災保険・雇用保険の手続き

その他

  • 法人銀行口座の開設(審査に2〜4週間かかることも。早めに動く)
  • インボイス(適格請求書発行事業者)の登録要否の検討——取引先が事業者中心なら登録が前提になります。免税のまま始めるか登録するかは、取引構造を踏まえて設立時に判断しておくべき論点です

税理士からのひとこと(監査目線):設立直後のご相談で多いのが「設立は自分でできたが、届出が漏れていた」というケースです。特に多い漏れが①青色申告承認申請の期限切れ、②社会保険の未加入、③役員報酬の決定が遅れて損金にできる金額が減った、の3つ。役員報酬は設立から3か月以内に決めて支給を始めるのが原則(定期同額給与)のため、設立月から数字の設計が始まっています。設立手続きそのものより、設立後90日の段取りにこそ専門家を使う価値があります。

モデルスケジュール:事業開始日から逆算する

「4月1日に事業を始めたい」場合の逆算例です。

時期 やること
1月(3か月前) 基本事項の決定、専門家・設立ツールの選定、許認可の要件確認
2月上旬 定款作成・認証(株式会社)、資本金の払込み
2月中旬 法務局へ登記申請(この日が設立日)
2月下旬〜3月上旬 登記完了、証明書取得、法人口座の申込み
3月 税務署・自治体・年金事務所への届出、役員報酬の決定、会計ソフト整備
4月1日 事業開始(口座・請求書・経理体制が揃った状態)

最も時間が読めないのが法人銀行口座の審査です。ネット銀行でも数日〜2週間、メガバンクでは1か月近くかかることもあり、口座がないと売上の入金も経費の支払いも個人口座頼みになってしまいます。登記完了後すぐ申し込めるよう、必要書類(謄本・印鑑証明・事業内容説明資料)を先に揃えておきましょう。

自分でやるか、専門家に頼むか

方法 向いているケース 費用感
自分で(設立支援ツール利用) 急がない・構成がシンプル(1人会社等) 法定費用のみ(ツールは無料〜数千円)
司法書士に依頼 役員・株主構成が複雑、急ぎ、確実性重視 法定費用+5万〜10万円程度
税理士経由でワンストップ 設立後の税務・融資までまとめて整えたい 司法書士と提携し、税務顧問とセットで設立費用を抑えるプランが多い

なお、登記申請の代理は司法書士の独占業務です。税理士事務所がワンストップで対応する場合も、登記部分は提携司法書士が担当する形になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 資本金1円でも会社はつくれますか? A. つくれます。ただし資本金は登記簿で誰でも見られる「会社の体力表示」であり、1円では銀行口座開設・融資・取引先の与信で不利です。実務上は最低でも初期運転資金数か月分(100万円以上)をおすすめします。

Q. 設立まで何日かかりますか? A. 基本事項が決まっていれば、定款作成から登記申請まで1〜2週間、登記完了までさらに1〜2週間が目安です。銀行口座開設まで含めると、事業開始の1〜2か月前には動き始めるのが安全です。

Q. 個人事業からの法人成りでも流れは同じですか? A. 設立手続きは同じですが、個人側の資産・契約の引き継ぎ(事業譲渡・賃貸借契約の名義変更・許認可の取り直し)と、個人事業の廃業手続きが加わります。タイミングは消費税の免税期間と絡むため、事前の設計が重要です。

Q. 設立費用は経費になりますか? A. なります。定款認証や登録免許税などの設立にかかった費用は「創立費」、設立後営業開始までの準備費用は「開業費」として繰延資産に計上し、任意のタイミングで償却(経費化)できます。黒字になった期にまとめて償却することも可能です。

Q. 設立第1期の決算はいつになりますか? A. 設立日から、定款で定めた決算月の末日までが第1期です。たとえば2月設立・3月決算だと第1期がわずか2か月になり、すぐ申告が来てしまいます。第1期をできるだけ長く(12か月近く)取れるように決算月を設定するのが一般的です。

Q. バーチャルオフィスを本店にしてもよいですか? A. 登記自体は可能です。ただし銀行口座の審査や許認可(業種による)で不利になる場合があるため、事業内容と照らして選んでください。

まとめ

  • 法定費用の目安は株式会社 約18万〜25万円、合同会社 約6万〜10万円。電子定款で印紙代4万円を節約できる
  • 設立の流れは「基本事項決定→定款→払込み→登記申請→証明書取得」の5ステップ。申請日=設立日
  • 資本金は1,000万円未満が消費税面の定石。決算月・事業目的も後から変えにくい設計項目
  • 登記後が本番。青色申告承認申請(設立3か月以内)と社会保険の加入は絶対に落とさない
  • 役員報酬は設立3か月以内に決定・支給開始。設立後90日の段取りに専門家を使う価値がある

会社設立のご相談は Iroae税理士事務所へ

Iroae税理士事務所では、提携司法書士とのワンストップ設立支援に加え、資本金・決算月・役員報酬・インボイス登録の設計、設立後の届出一式、創業融資の計画書づくりまで、設立後90日を見据えたサポートを提供しています。「設立そのものより、その後の数字の設計まで任せたい」——監査法人出身の税理士が、最初から逆算でご支援します。

※本記事は2026年時点の一般的な情報をもとに、税理士の監修のもと作成しています。定款認証手数料・登録免許税・各種届出の期限は制度改正により変わる場合があります。手続きにあたっては、必ず法務局・国税庁・日本公証人連合会の最新情報をご確認ください。

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