IPO準備における内部監査室の立ち上げ方法

IPO準備における内部監査室の立ち上げ方法

➀内部監査とは

内部監査の定義づけとして、一般社団法人日本内部監査協会の内部監査基準に次の様に記載があります。

  内部監査とは、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、ガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールに関連する経営諸活動の遂行状況を、内部監査人としての規律遵守の態度をもって評価し、これに基づいて客観的意見を述べ、助言・勧告を行うアシュアランス業務、および特定の経営諸活動の支援を行うアドバイザリー業務である。

監査の中身は、業務が企業の定めた規定通りに行われているかの確認、及び業務執行のプロセスの有効性確認です。

https://www.iiajapan.com/pdf/guide/20140601_2.pdf
(引用:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査基準」)

内部監査を行う最大の目的は、経営層が認識しているリスクみ対する内部統制が運用されていることを確かめることですが、他にも下記のような目的があります。

  • 経営目標や経営者が認識しているリスクを企業全体に浸透させる
  • ビジネスリスクに対応した内部統制の促進
  • 各部署の管理者への支援
  • 部門間の連携が確保されることによる経営活動の合理化
  • 企業の管理方針の確立と周知
  • 情報システムの効果的な運用

②内部監査室の設置

上場の準備としてまずは「内部監査室」を設置します。企業内で内部監査に関する規定を制定すると共に、監査執行の為の組織づくりを行います。

内部監査室は代表取締役直轄とし、他の部門から独立した組織であることが必須です。
さらに、専任の内部監査担当を置くことが原則です。
ただし、企業の規模によっては独立した組織を置くことが難しい場合もあります。その様な場合は、他の代表取締役直轄部門が内部監査室を兼務したり、企業内で内部監査員を選定し、自身が属する部門以外を相互に監査する方法もあります。

③内部監査人の選定方法

内部監査人の選定はどの様に行うものでしょうか。ここでは主に用いられている3つの方法を紹介します。

  1. 社内から登用する

  2. 中途採用する

  3. アウトソーシングする

1. 社内から登用する

まず考えられるのは、社内で適した人材を登用することです。いくつもの部門を監査することになるので、自社の業務に精通している人が候補となります。また、各部門の責任者を相手に監査を行うので、物怖じせず質問したり意見を言えることも大切です。ある程度の役職経験者が良いでしょう。

ただし、IPO準備段階の企業において、内部監査を経験済みの社員は決して多くはないことと、準備に割く労力も多大なものとなる為、内部監査室の立ち上げ段階では想定した通りに立上ができない可能性があります。

2. 中途採用する

先にも述べた通り、IPO準備段階の企業では内部監査経験者は決して多くはありません。そこで、経験者を中途採用する方法があります。既に経験値が高いので、内部監査に関する規定制定、計画、準備、実施に至る一連の流れを理解しており、スムーズに業務を進めていくことが期待できます。

反面、中途採用の為、業務内容の把握に欠ける、各責任者との人間関係の構築が出来ていないと言ったマイナス要素があります。また、内部監査は一定規模以上の企業で行われていることが多く、転職による給与面等を考慮すると中途採用での人員確保には絶対数が少ないのが現状です。

3. アウトソーシングする

内部監査機能をアウトソーシングするというもの手段もあります。内部監査をアウトソーシングすることも出来ますし、業務の一部のみをアウトソーシングすることも可能です。

内部監査機能をアウトソーシングすることにより、監査がより独立性、客観性を持って行われることは大きな利点となります。社内ではIPO準備に専念することが出来ます。内部監査立上初期の段階では業務をアウトソーシングし、ある程度の期間を経て社内組織による内部監査へとシフトしていく方法も一つの手段として考えられます。

④内部監査にかかるコスト

内部監査では大掛かりな設備を新たに投入したりする必要はありません。

IPO準備段階では特に、業務フローの変更や社内既定が更新される中での内部監査となります。単なるチェック作業ではなく、常にビジネスリスクとコントロールのバランスを考えて内部監査を実施することが重要です。

内部監査人の採用が難しい場合は、アウトソーシングすることにより人件費、教育や育成にかかるコストを削減することが出来ます。

内部監査は取り掛かりの1年目にかなりの時間と労力が必要となります。IPO審査に向けて多くの課題をクリアしなければならない中、外部の力を上手く活用すことも視野に入れながら準備を進めていきましょう。

当社では、内部監査のアウトソースを承っております。
新しく内部監査室を立ち上げたい方はぜひお声がけください。